図面や見積書に「パーテーション」と書いてあって、壁と何が違うのか分からない。オフィスの移転や部屋のリフォームで、この言葉に初めて出会う人は多いです。
建築でいうパーテーションは、ひとことで言えば「あとから外せる間仕切り」のこと。ここでは、間仕切り壁との違い、種類、天井まで仕切るときに確かめる法律、設置までの流れを順に紹介します。
パーテーションとは建築では取り外せる間仕切りのこと
建築の用語では、パーテーションは部屋を区切るための間仕切りで、取り付けや分解、移設がしやすい既製品を指します。
英語の「partition(仕切り)」から来た言葉です。部屋を仕切る壁の中でも、動かせるものをパーテーションと呼ぶのが一般的です。
つまり、建築でいうパーテーションとは、建物の骨組みとして最初から作られた壁ではなく、あとから足したり外したりできる仕切りのことです。
建築用語のパーテーションとパーティションは同じ意味
「パーテーション」と「パーティション」は、同じ partition をカタカナにした書き方の違いです。
英語の発音に近いのはパーティションですが、オフィス家具のメーカーや内装業者のあいだではパーテーションと書くことが多いです。建築の見積書や図面にどちらが書いてあっても、指しているものは同じと考えてOKです。
建築のパーテーションには床から天井まで届くものもある
パーテーションと聞くと、オフィスの机の横に立てる低い衝立を思い浮かべる人が多いですよね。
建築の現場では、床と天井のあいだにパネルを固定して、ほぼ壁と同じように部屋を区切るパーテーションもよく使われます。会議室や応接室をオフィスの中に作るときは、このタイプが多いです。
建築のパーテーションと間仕切り壁は何が違う?
いちばん大きな違いは、パーテーションは工場で作られたパネルを組み立てるだけで、間仕切り壁は現場で骨組みを作って石膏ボードを張る工事が必要なことです。
間仕切り壁は、木材や軽量鉄骨(LGSや軽天と呼ばれる材料)で骨組みを作り、石膏ボードを張って、壁紙で仕上げます。家の中の部屋を分ける壁は、ほとんどがこの作り方です。
| 比べるところ | パーテーション | 間仕切り壁(造作壁) |
|---|---|---|
| 作り方 | 既製品のパネルを組み立てる | 骨組みに石膏ボードを張る |
| 工事の日数 | 1日から2日が目安 | 2日から4日が目安 |
| 移設や撤去 | 外して別の場所に使える | 壊して撤去する |
| 音の漏れにくさ | 製品によって差が大きい | 壁の中に断熱材を入れると高められる |
| 向いている場所 | レイアウトを変えるオフィスや店舗 | 長く使う住宅の部屋 |
数年ごとに席の配置を変えるオフィスなら、建築工事の少ないパーテーションのほうが向いています。移転のときに持っていける製品もあります。
一方、子ども部屋を2つに分けるように、ずっとその形で使う家の部屋なら、間仕切り壁のほうが音も漏れにくく、見た目も他の壁とそろいます。
建築で使うパーテーションの種類は高さと素材で分かれる
パーテーションの種類は、天井まで届くかどうかの高さと、パネルの素材の2つで分けると選びやすくなります。
ローパーテーションは天井まで届かない低いパーテーション
ローパーテーションは、建築の図面では天井まで届かない低いパーテーションを指します。床に置く自立式が多く、工事をしなくても置けます。
座ったときの目線を隠せれば足りる場所、たとえば受付の横や、机と机のあいだに使われます。上があいているので、エアコンの風や照明の光をさえぎりにくいのが特徴です。
ハイパーテーションは天井まで届くパーテーション
建築の現場でハイパーテーションと呼ぶのは、床から天井までパネルで区切るパーテーションです。ドアを付けて、会議室や個室として使えます。
天井と床に固定するため、取り付けは内装業者に頼むのが一般的です。家庭では、床と天井のあいだに突っ張って立てるタイプのパーテーションもあり、こちらは工具なしで付けられる製品が多いです。
建築用パーテーションの素材はスチールとアルミとガラスが中心
- スチール製のパーテーションは重くて丈夫。燃えにくく、音も漏れにくい
- アルミ製のパーテーションは軽くて組み立てやすい。色の選択肢が多い
- ガラス製のパーテーションは光が通るので、区切っても部屋が暗くなりにくい
- 布や樹脂のパーテーションは軽くて動かしやすい。家庭や簡易的な目隠しに多い
会議の声を外に漏らしたくないならスチール、部屋を明るく保ちたいならガラスというように、区切る目的から素材を選ぶのがおすすめです。ガラスは外から中が見えるので、目隠しのシートを組み合わせる人も多いです。
天井まで仕切るパーテーションは建築基準法と消防法を確認
ここは見落とされやすいところです。ハイパーテーションで天井まで区切ると、建築基準法や消防法のうえで新しい部屋が1つ増えた扱いになることがあります。
低いローパーテーションなら上があいているので、多くの場合この心配はありません。天井まで届くパーテーションを入れるときだけ、次の2つを確かめてください。
建築基準法では窓の大きさが足りるかを確かめる
建築基準法の第28条では、住宅の居室には床面積の7分の1以上の採光のための窓、20分の1以上の換気のための窓が必要と決められています。
パーテーションで部屋を2つに分けると、窓が片方の部屋にしか残らないことがあります。窓のない側は、法律上は居室として使えない場合があるので、室内窓を付けるか、上部があいたパーテーションにするなどの対策を考えましょう。
消防法では火災報知器やスプリンクラーの位置を確かめる
天井まで区切ると、区切った部屋ごとに火災報知器(感知器)が必要になることがあります。スプリンクラーがあるビルでは、パーテーションで水がかからない場所ができないかも確かめます。
どこまで必要かは、建築物の使い方や広さで変わります。オフィスなら、ビルの管理会社と所轄の消防署に事前に相談するのが確実です。
パーテーションを入れるまでの流れは5つ
パーテーションを入れるときは、先に目的と寸法を決めてから、業者や製品を選ぶと迷いません。
手順1 パーテーションで区切る目的を決める
目隠しをしたいのか、音を漏らしたくないのか、部屋として使いたいのかを決めます。目隠しだけならローパーテーション、音や個室が目的ならハイパーテーションが候補になります。
手順2 区切る場所の幅と天井の高さを測る
メジャーで、区切りたい場所の幅と、床から天井までの高さを測ります。天井に梁が出ている部屋や、床に段差がある部屋は、その位置もメモしておきましょう。
手順3 窓とエアコンと照明の位置を確かめる
区切ったあと、それぞれの側に窓、エアコン、照明、コンセントが残るかを図に書いてみます。片方の部屋が暗くなったり、エアコンの風が届かなくなったりするのは、この時点で分かります。
手順4 天井まで仕切るなら管理会社に相談する
ハイパーテーションを入れる場合は、前の見出しで紹介した法律の確認が必要です。賃貸なら、取り付けてよいかもここで聞いておきます。
手順5 業者から見積もりをとるか自分で設置する
天井と床に固定するパーテーションは、建築の内装業者に現地を見てもらってから見積もりをとります。2社から3社に頼むと、内容と金額を比べやすいです。
置くだけの自立式や、突っ張り式のパーテーションなら、自分で設置できます。ただし、ぶつかったときに倒れないよう、脚の安定と突っ張りの強さは設置した日に必ず確かめてください。
パーテーションとは建築では外せる間仕切りと覚えておくのがおすすめ
建築でいうパーテーションは、あとから付けたり外したりできる既製品の間仕切りです。現場で骨組みから作る間仕切り壁とは、工事の大きさと、あとで動かせるかどうかが違います。
目隠しが目的なら低いローパーテーション、部屋として使いたいなら天井まで届くハイパーテーションを選びます。天井まで区切るときは、窓の大きさと火災報知器の位置を、管理会社や消防署に確かめてから進めましょう。
元々は充電式のポータブル電源や電動工具分野の専門アドバイザー。現在はキッチン家電や生活家電、カー用品まで幅広く担当しています。「毎日使うものほど、扱いやすさで選ぶ」が持論。
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